「地域No.1銀行」を目指して——人や企業に寄り添い、地元経済を支え続ける
株式会社武蔵野銀行 取締役頭取 長堀 和正さん
2021/07/14
立教卒業生のWork & Life
OVERVIEW
埼玉県を拠点とする武蔵野銀行。1952年の開業以来、埼玉、東京を中心に多くの店舗を構え、地元経済を支えている。同行で19年6月、12年ぶりのトップ交代で頭取に就任したのが長堀和正さんだ。
机上の冊子は、立教大学との産学連携プロジェクトで完成したまち歩きマップ『ぶらって埼玉』シリーズ
金融の道を志したきっかけは、立教大学入学後、1年次から所属した近代経済学のゼミ。金融論や証券市場について学ぶ中で、その面白さに魅力を感じたという。ゼミの指導は、日本銀行勤務の経歴を持つ斎藤精一郎教授(当時)。後にテレビのニュース番組で長年コメンテーターを務めるほど豊富な知識と経験を持つ先生から多くのことを学んだ。
「斎藤先生のゼミは本当に『自由』でした。だからこそ学生が主体的に学べたのかもしれません。結果的にゼミの同期の多くは金融業界に就職しました」
近代経済学に傾倒する一方、課外活動では「スポーツ愛好会」に所属。中学時代から続けてきたサッカーや、今でも高いスコアを維持するゴルフに取り組んだ。
「斎藤先生のゼミは本当に『自由』でした。だからこそ学生が主体的に学べたのかもしれません。結果的にゼミの同期の多くは金融業界に就職しました」
近代経済学に傾倒する一方、課外活動では「スポーツ愛好会」に所属。中学時代から続けてきたサッカーや、今でも高いスコアを維持するゴルフに取り組んだ。
「スポーツ愛好会」の仲間と
「立教時代に始めて以来、ゴルフは約40年続く趣味です。若い時は知人からプロになってはどうかと勧められたこともありました(笑)」
「決してまじめな学生ではなかった」という長堀さんだが、当時は年間の履修登録数の上限が定められておらず、2年で卒業要件単位のほとんどを修得。「短期集中で、メリハリをつけて勉強する姿勢があったのかもしれない」と振り返る。
時間にゆとりができたこともあり、3?4年次は池袋の百貨店で販売のアルバイトに勤しんだ。
「接客は楽しかったですね。後に銀行の仕事に生きるコミュニケーション力が鍛えられました」
「決してまじめな学生ではなかった」という長堀さんだが、当時は年間の履修登録数の上限が定められておらず、2年で卒業要件単位のほとんどを修得。「短期集中で、メリハリをつけて勉強する姿勢があったのかもしれない」と振り返る。
時間にゆとりができたこともあり、3?4年次は池袋の百貨店で販売のアルバイトに勤しんだ。
「接客は楽しかったですね。後に銀行の仕事に生きるコミュニケーション力が鍛えられました」
悲観的に考えて楽観的に対処する
埼玉県草加市生まれの長堀さんは、3人兄弟の長男であることもあってか、就職活動では地元志向が強かったと話す。「都市銀行よりも、成長が期待できる地方銀行の方がやりがいを感じられるのではないか」と、武蔵野銀行を志望。
「当時、立教(池袋キャンパス)の近くに武蔵野銀行の支店があって、毎日見ていたことも大きかったのかもしれません」
入行時の抱負では「将来、銀行を背負って立つ人間になりたい」とコメント。
「当時は、まさか頭取になるとは思っていませんでした。ただ、少なくとも役員を目指そうという志は、はっきり持っていました」
その背景には、大学時代に斎藤ゼミで金融の基礎を学んだ自信があり、「同期と比べても、良い意味でアドバンテージを感じていた」と話す。
支店での営業、証券部門でのディーラーなどの業務を経て、転機となったのが入行10年目の総合管理部(当時)経営政策室への異動。銀行の経営戦略や中長期計画を策定する中で、物事の見方、考え方のベースを養ったという。「経営会議で役員からどのような意見が飛んでくるか、あらゆる想定を重ねながら企画を考えた」と振り返る。
「今もよく言っていますが、『悲観的に考えて、楽観的に対処する』ことが重要です。考える時はあらゆるリスクを想定する。誰に何を言われても論破できるくらい考え尽くしたら、自信を持って実行する。どのような業務においても通じる姿勢だと思っています」
経営政策室に約8年半勤務した後、支店に再度赴任。支店長時代にはリーマンショックを経験。多くの地元企業が難局に直面する中、「今こそ地元経済を支えなければ」と奮い立ち、さまざまな企業に寄り添い、一緒に打開策を考えた。
「当時、立教(池袋キャンパス)の近くに武蔵野銀行の支店があって、毎日見ていたことも大きかったのかもしれません」
入行時の抱負では「将来、銀行を背負って立つ人間になりたい」とコメント。
「当時は、まさか頭取になるとは思っていませんでした。ただ、少なくとも役員を目指そうという志は、はっきり持っていました」
その背景には、大学時代に斎藤ゼミで金融の基礎を学んだ自信があり、「同期と比べても、良い意味でアドバンテージを感じていた」と話す。
支店での営業、証券部門でのディーラーなどの業務を経て、転機となったのが入行10年目の総合管理部(当時)経営政策室への異動。銀行の経営戦略や中長期計画を策定する中で、物事の見方、考え方のベースを養ったという。「経営会議で役員からどのような意見が飛んでくるか、あらゆる想定を重ねながら企画を考えた」と振り返る。
「今もよく言っていますが、『悲観的に考えて、楽観的に対処する』ことが重要です。考える時はあらゆるリスクを想定する。誰に何を言われても論破できるくらい考え尽くしたら、自信を持って実行する。どのような業務においても通じる姿勢だと思っています」
経営政策室に約8年半勤務した後、支店に再度赴任。支店長時代にはリーマンショックを経験。多くの地元企業が難局に直面する中、「今こそ地元経済を支えなければ」と奮い立ち、さまざまな企業に寄り添い、一緒に打開策を考えた。
目標の「さらに上」を目指す中で工夫や改善が生まれる
その後、総合企画部長として本部に戻り、創業60周年を機に10年の長期計画を策定。そこで大々的に打ち出したのが「地域No.1銀行」というビジョンだった。
「埼玉県内には圧倒的なシェアを誇る銀行があり、武蔵野銀行には『二番手意識』のようなものが根付いていました。あえて『No.1』という表現を使って、全行員の意識を変えたいと思ったのです」
ビジョンを浸透させるため、全ての支店に足を運び、現場の行員と意見交換を重ねた。
「どんなことでもいいので、その地域でNo.1を目指してほしいと伝えました。笑顔No.1でも、あいさつNo.1でも、一番に相談されるでもいい、と」
頭取となった今、「地域No.1銀行」への思いはさらに強くなる。
「就任以来、たくさんの企業と接する中で、皆さまからの信用や期待の大きさをひしひしと感じています。コロナ禍で大変な思いをしている方が多い今こそ、強い信念と高い志をもって、地域経済の支えとなりたい」
長堀さんのモットーは「意志あるところに道は開ける」。
「目標100%達成を目指すのは当然。さらに上の120%、150%に挑む中で工夫や改善が生まれ、人はさらに成長すると考えます」
「埼玉県内には圧倒的なシェアを誇る銀行があり、武蔵野銀行には『二番手意識』のようなものが根付いていました。あえて『No.1』という表現を使って、全行員の意識を変えたいと思ったのです」
ビジョンを浸透させるため、全ての支店に足を運び、現場の行員と意見交換を重ねた。
「どんなことでもいいので、その地域でNo.1を目指してほしいと伝えました。笑顔No.1でも、あいさつNo.1でも、一番に相談されるでもいい、と」
頭取となった今、「地域No.1銀行」への思いはさらに強くなる。
「就任以来、たくさんの企業と接する中で、皆さまからの信用や期待の大きさをひしひしと感じています。コロナ禍で大変な思いをしている方が多い今こそ、強い信念と高い志をもって、地域経済の支えとなりたい」
長堀さんのモットーは「意志あるところに道は開ける」。
「目標100%達成を目指すのは当然。さらに上の120%、150%に挑む中で工夫や改善が生まれ、人はさらに成長すると考えます」
『ぶらって埼玉』シリーズは地方創生の先駆け
20年9月に行われた『ぶらって秩父』完成披露?贈呈式の様子
2007年、武蔵野銀行と立教大学は「産学連携」協定を締結。地域活性化プロジェクトの一環として、埼玉県内のさまざまな地域のまち歩きマップを制作する『ぶらって埼玉』シリーズに取り組み、21年3月時点で、8地域11作が完成している。
「昨今、『地方創生』が盛んにうたわれていますが、当プロジェクトはその先駆けではないでしょうか。今後拡大することはあっても、途絶えさせてはいけない。学生の視点は新鮮で勉強になります。コロナ禍の中で埼玉県内の魅力を上手に発信できていると感心しています」
「昨今、『地方創生』が盛んにうたわれていますが、当プロジェクトはその先駆けではないでしょうか。今後拡大することはあっても、途絶えさせてはいけない。学生の視点は新鮮で勉強になります。コロナ禍の中で埼玉県内の魅力を上手に発信できていると感心しています」
立教大学新座キャンパスでの講演(19年12月)
立教生に対する長堀さんの期待は大きい。母校で講演を行った際にも、SDGsなどへの学生の関心が高く、頼もしさを覚えたという。後輩たちへ、最後に力強くメッセージを送った。
「立教大学が持つ国際性やSDGsなど社会との関わりを見ていると、広く外に目を向け、それが教育にしっかりと反映されている印象があります。また近年、リベラルアーツの重要性が見直されており、立教の伝統であるリベラルアーツ教育を通して身に付けたことは、きっと社会で役立つことでしょう。幅広く学ぶ機会、多様な人と話す機会を、大学生の間にできるだけ大切にしてください」
「立教大学が持つ国際性やSDGsなど社会との関わりを見ていると、広く外に目を向け、それが教育にしっかりと反映されている印象があります。また近年、リベラルアーツの重要性が見直されており、立教の伝統であるリベラルアーツ教育を通して身に付けたことは、きっと社会で役立つことでしょう。幅広く学ぶ機会、多様な人と話す機会を、大学生の間にできるだけ大切にしてください」
※本記事は季刊「立教」256号(2021年4月発行)をもとに再構成したものです。定期購読のお申し込みはこちら
※記事の内容は取材時点のものであり、最新の情報とは異なる場合があります。
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プロフィール
PROFILE
長堀 和正
1984年 立教大学社会学部産業関係学科卒業
1961年埼玉県生まれ。84年、武蔵野銀行入行。2001年、総合企画部経営政策室長。03年、北浦和支店次長。06年、戸田西支店長。08年、越谷支店長。10年、総合企画部長。11年、執行役員総合企画部長。武蔵野銀行の長期ビジョンおよび中期経営計画の策定を取りまとめる。14年、常務取締役。17年、専務取締役。19年6月より、現職。
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